中古住宅の住宅ローンは控除を受けられない? 適用条件を手続きの流れも含めて紹介

中古住宅の住宅ローンは控除を受けられない? 適用条件を手続きの流れも含めて紹介|株式会社イー・トラスト

住宅ローンを利用すると、税制上の優遇を受けられます。しかし、中古住宅を購入する際は、新築時と適用条件が異なるケースもあるため注意が必要です。金銭的な負担を少しでも軽くするために、住宅ローン控除の利用は欠かせません。

そこで本記事では、中古住宅購入時における住宅ローン控除の適用条件や、手続きの流れを詳しく解説します。中古住宅を購入予定で住宅ローン控除を受けたい方は、ぜひ参考にしてください。

住宅ローン控除を受けるための基本条件

住宅ローン控除を受けられる条件は決まっている

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、マイホームを住宅ローンで購入したり、リフォームしたりした場合に、年末のローン残高の0.7%が所得税(一部は住民税)から最大13年間控除される制度です。
この制度は、新築住宅だけでなく、中古住宅の購入でも利用できますが、いくつかの基本的な条件を満たす必要があります。

新築でも中古でも条件さえ満たせば控除を受けられる

住宅ローン控除は新築でも中古物件でも、条件さえ満たしていれば適用されます。住宅ローン控除とは、マイホームを住宅ローンで購入した際に一定額を所得税から控除できる制度です。
年末時点のローン残高に対して0.7%が、最大で13年間にわたって所得税から差し引かれます。
適用条件や内容は法改正によって変わることがあるため、利用する際には国税庁のホームページなどで最新情報を確認しておきましょう。

自らが居住するための住宅であること

住宅ローン控除の対象となるのは、購入した本人が主として居住するための住宅です。そのため、投資用マンションや別荘、賃貸目的で購入した住宅は対象外となります。
また、セカンドハウスについても原則として対象外ですが、転勤などのやむを得ない事情で一時的に居住できない場合など、一定の条件下では適用が認められることもあります。

耐震基準や床面積の基準を満たしていること

住宅の安全性や広さに関する基準も設けられています。
耐震基準: 中古住宅の場合、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 建築日が1982年(昭和57年)1月1日以降であること(新耐震基準適合)
  • 上記以前の建築物であっても、現行の耐震基準に適合していることが証明されたもの(耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)などがあるもの)
  • 入居までに耐震改修工事を行い、耐震基準に適合することが証明されたもの。

床面積: 登記簿上の床面積が50平方メートル以上であることが原則です。ただし、合計所得金額が1,000万円以下の年に限り、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅も対象となります。

要件 内容 備考
居住要件 自ら居住するための住宅であること 投資用、賃貸用は対象外
耐震基準 新耐震基準に適合していること、または耐震改修により適合すること 1982年1月1日以降の建築か、適合証明が必要
床面積 50㎡以上(合計所得1,000万円以下の場合、40㎡以上50㎡未満も可) 登記簿面積で判断
合計所得金額 2,000万円以下であること 控除を受ける年ごと
借入期間 住宅ローンの返済期間が10年以上であること 繰り上げ返済で10年未満になると対象外になる場合あり

合計所得金額が2,000万円以下であること

住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります(2022年以降の入居の場合。それ以前は3,000万円以下)。
この所得金額は、給与所得だけでなく、事業所得や不動産所得など、すべての所得を合計した金額です。夫婦で収入がある場合は、控除を受ける本人の所得金額で判断されます。

住宅ローンの借入期間が10年以上であること

住宅ローンの返済期間が10年以上であることも条件の一つです。
繰り上げ返済などによって、実際の返済期間が10年未満となった場合には、その年から控除が受けられなくなるため注意が必要です。

中古住宅の販売形態によって適用内容が異なる

中古住宅の販売形態によって適用内容が異なる

中古住宅の住宅ローン控除を受ける際は、販売形態によって適用内容が異なります。中古住宅の販売形態は「仲介」と「買取再販住宅」の2種類です。
販売形態による住宅ローン控除の適用内容の違いについて、詳しくみていきましょう。

中古住宅には「仲介」と「買取再販住宅」がある

中古住宅の取引で一般的な仲介は、住宅の売買を不動産会社に依頼して購入者を探してもらう販売形態です。一方の買取再販住宅は、不動産会社が物件を買い取り、リノベーションやリフォームをしてから販売します。

買取再販住宅はリノベーションやリフォーム済みのため、内装が綺麗であったり、最新設備を備えていたりするのが特徴です。ただし、仲介よりも高価格となる傾向があります。

買取再販住宅のほうが控除期間が長い

仲介と買取再販住宅の違いの一つは、住宅ローン控除が適用される期間です。仲介の物件よりも、買取再販住宅のほうが控除期間が長くなっています。控除期間は、仲介の控除期間が最大10年であるのに対し、買取再販住宅は新築物件と同様の最大13年間です。

ただし、2024年以降は、認定住宅や環境性能に配慮した住宅でなければ、10年までしか控除されないことになりました。買取再販住宅を購入する場合は、適用される控除期間を事前に確認しておきましょう。

仲介のほうが控除限度額が低い

控除限度額についても、買取再販住宅のほうが有利です。買取再販住宅の控除限度額は新築と同様(2025年の最高額で4,500万円)ですが、仲介の場合は最高でも3,000万円までとなっています。

また、住宅の環境性能によって限度額が異なることも、住宅ローン控除で重要なポイントです。買取再販住宅は3段階、仲介の場合は2段階に控除限度額が分かれていています。「省エネ基準適合住宅」と指定の環境性能を満たさない住宅の場合、買取再販住宅と仲介の控除限度額は同額です。

中古住宅で住宅ローン控除が受けられないケースとは?

中古住宅で住宅ローン控除が受けられないケースとは?

これまで見てきた基本条件や中古住宅特有の要件を満たしていても、住宅ローン控除が受けられない、あるいは途中から受けられなくなるケースがあります。代表的な例をいくつかご紹介します。

入居のタイミングが遅れた場合

住宅ローン控除の適用を受けるためには、原則として住宅の取得の日から6か月以内に居住を開始し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住している必要があります。
工事の遅延やその他の事情で入居が大幅に遅れてしまうと、控除の対象外となる可能性があります。

贈与税の特例など他の特例を利用している場合

親から住宅取得資金の贈与を受けた場合に利用できる「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」など、他の税制優遇措置と住宅ローン控除は原則として併用可能です
しかし、特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除など、一部併用できない特例も存在するため、注意が必要です。
どの特例を優先するか、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

生計を一にする親族等からの購入である場合

住宅ローン控除は、生計を一にする親族(配偶者、親、子など)や、内縁関係にある人、特別な関係のある法人などから住宅を取得した場合には適用されません。
これは、税負担の不当な軽減を防ぐための措置です。

【2024年改正】中古住宅の住宅ローン控除の変更点

【2024年改正】中古住宅の住宅ローン控除の変更点

住宅ローン控除の制度は、社会情勢や政策目標に合わせて見直されることがあります。2022年度の税制改正では大きな変更があり、2024年以降に入居する場合にも影響する重要なポイントがあります。

省エネ基準への適合が重要に

2024年1月以降に建築確認を受ける新築住宅については、原則として省エネ基準に適合しない住宅は住宅ローン控除の対象外となりました。
中古住宅については、現時点では新築住宅ほど厳格な省エネ基準適合が必須化されているわけではありませんが、省エネ性能の高い住宅ほど控除額が有利になる傾向は強まっています。
具体的には、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅といった区分で、借入限度額が異なります。

買取再販住宅における控除額の上乗せ

前述の通り、宅地建物取引業者が中古住宅を買い取って一定の増改築等を行った「買取再販住宅」については、2022年以降の入居で、省エネ基準を満たすなどの条件を満たせば、新築住宅と同様の借入限度額や控除期間が適用されるようになっています。これにより、質の高いリフォームが施された中古住宅がより選びやすくなりました。

入居期限は2025年末まで

現行の住宅ローン控除制度は、2025年12月31日までに入居した方が対象とされています。
それ以降の入居については、制度が延長されるか、あるいは内容が変更される可能性があるため、今後の税制改正の動向に注意が必要です。

住宅ローン控除を受ける際の手続き

住宅ローン控除を受ける際の手続き

住宅ローン控除の条件を満たしていても、適切な手続きをしなければ控除は受けられません。購入1年目には確定申告をする必要があるため、とくに会社員の方は注意が必要です。

住宅ローン控除のために必要な手続きを、1年目と2年目の違いも含めて詳しくみていきましょう。

中古住宅を購入して入居

住宅ローン控除を受けるための絶対条件は、購入した中古住宅の引き渡しもしくは工事完了後、6カ月以内に入居することです。引き渡し後に確実に入居しておかなければ、住宅ローン控除は受けられません。

現在の家の退去、仕事の調整、運送業者の手配など、引っ越しには多くの手間と時間がかかります。中古物件を購入する際には、入居開始の時期が6ヶ月以内になるよう事前に計画を立てておきましょう。

控除の適用を受けるには1年目に確定申告が必要

住宅ローン控除の適用を受けるには、購入年度分の確定申告が必要です。普段は申告が不要な会社員でも、翌年の3月15日(曜日によって日付は多少前後)までに確定申告を完了させなければなりません。

確定申告で住宅ローン控除を申請するためには、いくつかの書類が必要です。期日直前に慌てないためにも、早めに準備しておきましょう。確定申告で必要となるおもな書類は、以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票、本人確認書のコピー
  • 登記事項証明書
  • 不動産売買契約書のコピー
  • 年末残高等証明書
  • 住宅借入等特別控除額の計算明細書
  • 耐震基準適合証明書(旧耐震基準の物件の場合)

2年目以降は年末調整で適用可能

会社員であれば、住宅取得の2年目以降は確定申告をする必要はありません。年末調整によって、住宅ローン控除の適用が可能です。

会社で求められる年末調整の書類とともに、住宅ローンの残高証明書と住宅借入金等特別控除申告書を提出します。ただし、自営業のように給与所得者でない方は年末調整がないため、住宅ローン控除を受けるために確定申告が必要です。

住宅ローン控除が受けられない場合の対処法は?

住宅ローン控除が受けられない場合の対処法は?

万が一、中古住宅で住宅ローン控除が受けられない、あるいは受けられると思っていたのに条件を満たせなかった場合、どうすれば良いのでしょうか。
いくつかの対処法や考え方があります。

物件の再検討やリフォームを検討する

もし物件の購入前であれば、住宅ローン控除の条件を満たす他の物件を探すことを検討できます。
例えば、耐震基準を満たしていない物件であれば、耐震改修を行うことで控除の対象となる可能性があります(ただし、改修費用と控除額を比較検討する必要があります)。
また、床面積が足りない場合は、より広い物件を探すといった選択肢もあります。

他の減税制度の活用を検討する

住宅ローン控除以外にも、住宅取得やリフォームに関する税制優遇措置が存在する場合があります。
例えば、特定の省エネ改修やバリアフリー改修を行った場合に利用できる減税制度(固定資産税の減額など)や、親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置などです。
これらの制度が利用できないか確認してみましょう。

専門家へ相談してアドバイスを受ける

住宅ローン控除の条件は複雑であり、ご自身の状況がどのケースに該当するのか判断が難しい場合も少なくありません。
そのような場合は、税理士やファイナンシャルプランナーといった専門家に相談することをおすすめします。
専門家であれば、個別の状況に合わせた最適なアドバイスや、他の利用可能な制度について教えてくれるでしょう。

【まとめ】中古住宅で住宅ローン控除を受ける際は条件を慎重に確認

【まとめ】中古住宅で住宅ローン控除を受ける際は条件を慎重に確認

住宅ローン控除の制度は2025年までといわれており、本記事も含めてインターネット上の情報が最新とは限りません。とくに、新築住宅とは条件の異なる中古住宅を購入する際は、国税庁など公的なホームページで内容を慎重に確認することが重要です。

リノベーションをしたマンションを取り扱う日商エステムグループでは、中古物件購入時の税制面でのご相談にもしっかりと応じます。複雑な住宅ローン控除の仕組みについても、お気軽にご相談ください。長年の経験で培ったノウハウと豊富な取引実績から、お客様一人ひとりのニーズに合った物件をご提案します。
 
 

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