安定していると言われる教員の仕事ですが、将来の資産形成に悩みを抱えている方は少なくないでしょう。その解決策の一つとして「不動産投資」が注目されています。
しかし、投資と聞くとリスクが心配になったり、「教員は副業してもいいのか?」という疑問が浮かんだりするかもしれません。
この記事では、教員という職業が不動産投資で有利になる理由から、具体的なメリット・デメリット、そして法律的な注意点まで、分かりやすく解説します。
もくじ
教員が不動産投資に取り組む理由

教員という職業は、不動産投資を始める上で有利な点が数多くあります。なぜ教員が不動産投資に適しているのか、その主な理由を3つの側面から見ていきましょう。これらの理由が、多くの方が不動産投資に関心を持つきっかけとなっています。
社会的信用が高く金融機関のローン審査に有利になる
不動産投資を始める方の多くは、金融機関からのローンを利用します。その際、ローン審査で重要になるのが「社会的信用」です。教員は公務員、もしくはそれに準ずる安定した職業と見なされるため、社会的信用が非常に高いのが特徴です。
金融機関は、収入の安定性や継続性を重視するため、教員はローン審査において有利な評価を受けやすい傾向にあります。これは、不動産投資を始める上での大きなアドバンテージと言えるでしょう。
収入が安定しており長期的な返済計画を立てやすい
教員の給与は景気の変動に左右されにくく、毎月安定した収入が見込めます。不動産投資は、ローン返済や経費の支払いが長期にわたるため、収入の安定性は極めて重要です。
収入が安定していることで、将来を見据えた無理のない返済計画を立てやすくなります。また、突発的な支出が発生した場合でも、安定した給与収入があれば、慌てずに対処しやすいという精神的な安心感にも繋がります。
真面目で計画的な性格が堅実な資産運用に適している
教員の仕事は、学習指導計画の作成や日々の授業準備など、計画性が求められる場面があります。このような業務を通じて培われた真面目で計画的な性格は、不動産投資においても大きな強みとなります。
不動産投資は、派手なリターンを狙う投機ではなく、長期的な視点でコツコツと資産を築いていく堅実な運用です。物件の情報収集や収支シミュレーション、リスク管理などを真摯に行う姿勢が、成功の確率を高めるのです。
| 教員の特性 | 不動産投資における有利な点 |
|---|---|
| 社会的信用の高さ | 金融機関からのローン審査に通りやすい |
| 収入の安定性 | 長期的な返済計画が立てやすく、精神的な安心感が得られる |
| 真面目で計画的な性格 | リスクを抑えた堅実な資産運用に向いている |
教員が不動産投資を始めるメリット

不動産投資は、教員の皆様にとって将来の安定につながる多くのメリットをもたらします。給与以外の収入源の確保から、節税効果、さらには万が一への備えまで、その魅力は多岐にわたります。ここでは、主な4つのメリットを具体的に解説します。
給与以外の安定した家賃収入が年金の補完になる
現在の公的年金制度だけでは、ゆとりある老後生活を送ることが難しいかもしれません。不動産投資によって得られる家賃収入は、給与収入とは別の安定した収入源となり、老後の生活を支える私的年金の役割を果たします。
若いうちからローンを組んで不動産投資を始めれば、定年退職を迎える頃にはローンを完済し、家賃収入の大部分をそのまま受け取れる状態を目指すことも可能です。
団体信用生命保険が生命保険の代替効果を持つ
不動産投資ローンを組む際には、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」への加入が必須となります。これは、ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金でローン残高が全額弁済される仕組みです。
つまり、残された家族はローン返済の負担なく、家賃収入が得られる不動産を資産として受け継ぐことができます。これは、生命保険と同様の効果であり、万が一の際の家族への備えとしても非常に有効です。
減価償却費などを活用した節税効果が期待できる
不動産投資で得た所得(不動産所得)は、確定申告が必要です。その際、家賃収入から必要経費を差し引いて所得を計算しますが、経費には「減価償却費」を含めることができます。
減価償却費とは、建物の取得費用を法律で定められた年数(法定耐用年数)にわたって分割し、毎年経費として計上するものです。実際にお金の支出がなくても経費として計上できるため、帳簿上は赤字になることがあります。
この不動産所得の赤字は、給与所得と損益通算することができ、結果として所得税や住民税の還付・軽減が期待できるのです。
インフレーションによる資産価値の目減りを防ぐ
インフレーション(インフレ)とは、物価が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。現金や預貯金はインフレに弱く、物価が上がるとその価値は実質的に目減りしてしまいます。一方、不動産のような現物資産は、インフレに合わせてその価値や家賃が上昇する傾向があります。そのため、インフレヘッジ、つまり資産価値の目減りを防ぐ対策として不動産投資は有効な手段となります。
| メリットの種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 私的年金の形成 | 給与以外の安定した家賃収入が老後の生活を支える |
| 生命保険効果 | 団体信用生命保険により、万が一の際に家族へ資産を残せる |
| 節税効果 | 減価償却費などを活用し、所得税・住民税を軽減できる可能性がある |
| インフレ対策 | 物価上昇時に資産価値が目減りするリスクを回避できる |
注意すべき不動産投資のデメリットとリスク

多くのメリットがある一方で、不動産投資には注意すべきデメリットやリスクも存在します。事前にこれらを正しく理解し、適切な対策を講じることが、失敗を避けるためには不可欠です。ここでは、代表的な4つのリスクについて解説します。
入居者が決まらない空室のリスク
不動産投資の収入源は入居者からの家賃です。そのため、入居者が決まらずに部屋が空室になってしまうと、その間の家賃収入はゼロになります。しかし、ローンの返済や管理費などの支出は継続して発生するため、空室期間が長引くと自己資金で補填する必要が出てきます。この空室リスクを避けるためには、賃貸需要の高いエリアや物件を選ぶことが最も重要です。
金利が上昇してローン返済額が増えるリスク
不動産投資ローンを変動金利で組んだ場合、将来、市場の金利が上昇すると、それに伴ってローン返済額も増加する可能性があります。
返済額が増えると、当初の収支計画が崩れ、手残りが減ってしまう、あるいは赤字になることも考えられます。
対策としては、金利上昇を見越して余裕のある資金計画を立てることや、金利が固定されるタイプのローンを選択することなどが挙げられます。
地震や火災など予測困難な災害のリスク
日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。地震による倒壊や火災による焼失など、災害によって物件が損害を受けるリスクは常に存在します。こうしたリスクに備えるためには、火災保険や地震保険への加入が必須です。
また、物件選びの際には、新耐震基準を満たしているかなど、建物の構造的な強度を確認することも重要です。
不動産がすぐに現金化できない流動性のリスク
不動産は、株式や投資信託などと異なり、売却して現金化したいと思ってもすぐに買い手が見つかるとは限りません。売却までには数ヶ月以上かかることもあり、これを「流動性が低い」と表現します。
急にお金が必要になった場合に、すぐに現金化できない可能性があることは理解しておく必要があります。そのため、生活資金とは別の、余裕資金で投資を行うことが大原則となります。
| リスクの種類 | 主な内容と対策 |
|---|---|
| 空室リスク | 入居者が決まらないと家賃収入が途絶える。賃貸需要の高い物件選びが重要。 |
| 金利上昇リスク | 変動金利の場合、返済額が増加する可能性がある。余裕を持った資金計画や固定金利の検討。 |
| 災害リスク | 地震や火災で物件が損壊する可能性がある。火災保険・地震保険への加入が必須。 |
| 流動性リスク | 売却して現金化するまでに時間がかかる。余裕資金での投資を心がける。 |
教員が不動産投資を始める前に押さえるべき法的知識

教員が不動産投資を行う上で、最も気になるのが「副業規定」などの法律的な側面ではないでしょうか。法律や規則を遵守することは、教員という立場上、特に重要です。
ここでは、安心して不動産投資を始めるために、必ず知っておくべき法的な知識を解説します。
教員の副業規定と不動産投資の関係性を理解する
公立学校の教員は地方公務員、国立大学法人の教員はみなし公務員として、法律で副業が原則として制限されています。 しかし、不動産投資は株式投資などと同様に「資産運用」の一環と見なされることが一般的です。
そのため、一定の規模を超えなければ、許可申請なしで行える場合があります。ただし、自治体や学校法人ごとに規則の詳細が異なる場合があるため、念のため勤務先の服務規程を確認しておくとより安心です。
事業的規模と見なされる「5棟10室」の基準とは
不動産投資が「資産運用」ではなく「事業」と見なされると、副業規定に抵触する可能性があります。その判断基準として広く知られているのが「5棟10室」という基準です。
これは、戸建てなら5棟以上、アパートやマンションなら10室以上を所有すると事業的規模と見なされるという目安です。 また、年間の家賃収入が500万円を超える場合も事業的規模と判断されることがあります。
これから始める方は、まずこの規模を超えない範囲で検討することが賢明です。
不動産所得が発生した場合の確定申告の必要性
教員の場合、給与所得は年末調整で納税が完了しますが、不動産投資で得た所得(不動産所得)は別途確定申告が必要です。
国税庁によると、給与所得者で給与以外の所得(不動産所得など)の合計額が年間20万円を超える場合は、確定申告をしなければならないと定められています。
[国税庁 No.1900]確定申告は義務ですので、忘れずに行うようにしましょう。
| 法的知識のポイント | 内容 |
|---|---|
| 副業規定 | 一定規模内であれば「資産運用」と見なされ、副業にはあたらないことが多い。 |
| 事業的規模の基準 | 戸建て5棟・マンション10室未満、かつ年間家賃収入500万円未満が目安。 |
| 確定申告の義務 | 不動産所得が年間20万円を超えた場合は、必ず確定申告が必要。 |
教員のための不動産投資の始め方

不動産投資に興味を持っても、何から手をつければ良いのか分からないという方も多いでしょう。ここでは、知識ゼロの状態から、実際に不動産オーナーになるまでの具体的なステップを4段階に分けて解説します。焦らず、一つひとつのステップを確実に踏んでいくことが成功への近道です。
書籍やセミナーで不動産投資の基礎知識を学ぶ
何よりもまず、不動産投資に関する正しい知識を身につけることが重要です。
いきなり不動産会社に相談する前に、書籍や信頼できるウェブサイト、初心者向けのセミナーなどを活用して、基本的な仕組みやメリット・デメリット、リスクについて学びましょう。
基礎知識があることで、不動産会社の担当者の話が理解しやすくなり、言われるがままに契約してしまうといった事態を防ぐことができます。
複数の不動産会社に相談して信頼できるパートナーを見つける
ある程度の知識が身についたら、実際に不動産会社に相談してみましょう。その際、1社だけでなく、必ず複数の会社を訪問することがポイントです。会社によって得意な物件の種類やエリア、サポート体制などが異なります。
特に、販売から管理、さらには売却まで一元的にサポートしてくれる会社であれば、複数の会社とやり取りする負担を減らせます。また、規模が大きく、30年以上の実績を持つ会社は信頼性も高く安心です。
これらの条件を両取りできる会社を選ぶことで、初めての不動産投資でも安心してスタートを切ることができるでしょう。
様々な会社の提案を比較検討する中で、自分の投資スタイルに合い、親身になって相談に乗ってくれる、信頼できるパートナーを見つけましょう。教員の特性を理解してくれる会社であれば、より安心です。
物件を比較検討し金融機関にローンを申し込む
信頼できる不動産会社が見つかったら、担当者と一緒に具体的な物件を探していきます。紹介された物件について、立地や周辺環境、建物の状態、想定される収支などを細かくチェックし、納得できる物件を選びましょう。
購入したい物件が決まったら、不動産会社を通じて金融機関にローンの申し込みを行います。教員はローン審査に有利ですが、必ず審査に通るとは限らないため、結果を待ちます。
物件を購入し賃貸管理を管理会社に委託する
ローン審査が無事に承認されれば、売買契約を結び、物件の引き渡しを受けて、晴れて不動産オーナーとなります。しかし、ここで終わりではありません。次に入居者の募集や家賃の集金、クレーム対応、退去時の手続きといった賃貸管理業務が発生します。
日々の業務で忙しい教員がこれらの業務をすべて自分で行うのは現実的ではありません。信頼できる管理会社に管理を委託することで、本業に支障をきたすことなく、安心して家賃収入を得ることができます。
その為、初めて投資を始める方は、販売と管理を一元対応できる会社を選ばれた方が手間少なく、最初は楽にスタートできるでしょう。
| ステップ | 主な内容 |
|---|---|
| 1. 知識の習得 | 書籍やセミナーで不動産投資の基礎を学ぶ。 |
| 2. パートナー探し | 複数の不動産会社に相談し、信頼できる会社を見つける。 |
| 3. 物件選定とローン | 物件を比較検討し、購入物件を決めてローンを申し込む。 |
| 4. 購入と管理委託 | 物件を購入し、賃貸管理業務を管理会社に委託する。 |
不動産投資で失敗しないための物件選びのポイント

不動産投資の成功は、どのような物件を選ぶかに大きく左右されます。特に初心者の方は、目先の利益だけでなく、長期的に安定した収益を生み出してくれる物件を見極める視点が重要です。ここでは、失敗しないための物件選びのポイントを3つご紹介します。
将来の賃貸需要が見込める都市部の物件を選ぶ
不動産投資における最大のリスクは空室です。空室を防ぐためには、入居者が見つかりやすい、つまり賃貸需要が高いエリアの物件を選ぶことが鉄則です。
日本の総人口は減少傾向にありますが、都心部や地方の中核都市など、特定のエリアでは人口が流入しています。
将来にわたって人口の増加や維持が見込める都市部の物件は、長期的に安定した賃貸需要が期待できるため、初心者の方でも安心して運用しやすいでしょう。
少額から始められる中古ワンルームマンションを検討する
初めての不動産投資で、いきなり多額のローンを組むことに抵抗がある方も多いと思います。そのような場合は、比較的少額から始められる中古のワンルームマンションが選択肢の一つとなります。
新築に比べて価格が安く、利回りも高い傾向にあります。また、都心部であれば単身者向けの賃貸需要が安定しているため、空室リスクも抑えやすいです。まずは小さな規模から始め、経験を積んでいくのが堅実な方法です。
利回りだけでなく長期的な資産価値を重視する
利回りとは、投資額に対してどれくらいの収益があるかを示す指標で、物件選びの重要な判断材料です。しかし、利回りの高さだけで物件を決めるのは危険です。
利回りが高くても、建物や設備の劣化が激しかったり、周辺環境が悪化したりして、将来的に資産価値が大きく下落してしまう可能性があります。
目先の収益性だけでなく、10年後、20年後も価値が下がりにくい、長期的な資産価値を重視する視点を持つことが大切です。
| 物件選びのポイント | 重視すべき理由 |
|---|---|
| 都市部の物件 | 人口が集中し、将来にわたって安定した賃貸需要が見込めるため。 |
| 中古ワンルーム | 少額から始められ、リスクを抑えながら経験を積むことができるため。 |
| 長期的な資産価値 | 目先の収益だけでなく、将来にわたって安定した資産形成を実現するため。 |
まとめ:教員は正しい知識と計画で不動産投資による資産形成を目指そう

教員という職業は、社会的信用や収入の安定性から不動産投資に適していると言えます。しかし、成功のためにはメリットだけでなくリスクや法的な注意点を正しく理解し、綿密な計画を立てることが不可欠です。
信頼できるパートナーを見つけ、堅実な一歩を踏み出すことで、不動産投資は将来の経済的な安心につながる有効な手段となるでしょう。
