マンション価格は急激な暴落は起きず、当面は高止まりが続く傾向にあります。
建築費の高騰や日銀の金融政策など複雑な要因が絡んでおり、今後の動向を慎重に見極める必要があります。
本記事では、価格高騰の背景と今後の予測、さらに損をしないための買い時・売り時の判断基準を整理します。
この記事の要約
- マンション価格は急激な暴落は起きず当面は高止まりが続く
- 好立地の物件は価格上昇が続く一方で郊外は二極化が進む
- 今後はローン金利の上昇と建築費の高止まりが価格を左右する
- 購入は生活環境の変化や住宅ローン減税を活用できる時期が適している
- 売却は所有5年超で税率が下がる時期や大規模修繕前が推奨される
もくじ
マンション価格が高騰した背景
近年のマンション価格高騰には、金融政策や建築コストなど複数の要因が関わっているとされます。
| 高騰の要因 | 具体的な背景 |
|---|---|
| 低金利政策 | 住宅ローンが組みやすくなり購入需要が拡大した |
| 建築費の高騰 | 資材価格や人件費の上昇分が販売価格に転嫁された |
| 用地不足 | 好立地の確保が難しくなり土地取得代が高騰した |
| 円安の影響 | 割安感から海外投資家の潤沢な資金が流入した |
低金利でローンを組みやすかった
日銀のマイナス金利政策のもとで住宅ローンの金利が長く低く抑えられ、購入需要が大きく拡大しました。低い金利は月々の返済額を抑えられるため、より高額な物件にも手が届くようになります。
結果として需要が供給を上回る状態が続き、マンション全体の価格が押し上げられたと考えられます。ただしマイナス金利政策は2024年3月の金融政策決定会合で解除され、以降は段階的な利上げが進んでいます。日銀の政策金利(無担保コールレート翌日物)は2026年8月時点で1.0%程度とされており、住宅ローン金利は上昇局面に転じている点に注意が必要です。
建築費の高騰が価格に転嫁された
マンションを建設するための資材価格や人件費が上昇し、販売価格に直接反映されています。
マンションの主要構造である鉄筋コンクリート造では、鉄筋・セメント・生コンクリートといった基幹資材が、世界的な鉄鋼需要の高止まりや原料・エネルギーコストの上昇を受けて値上がりしました。加えて建設業界の人手不足により労務費も上昇しており、原価が高くなった分だけ販売価格が高騰しているとされます。建設物価調査会の建築費指数(東京・2015年平均=100)では、集合住宅(鉄筋コンクリート造)の工事原価が2026年6月時点で145.6と、10年前の水準から4割以上上昇しています。
用地不足により土地代が高騰した
都市部を中心にマンション開発に適した土地が不足し、用地取得の競争が激化したことで土地代が高騰しています。
駅近や再開発エリアなどの好立地は特に限られており、デベロッパー間でオークションのように価格が競り上がるケースも存在します。取得費用の増加は、そのまま新築マンションの価格を引き上げる要因となり得ます。
円安により海外マネーが流入した
急速に進んだ円安により、海外の投資家から見て日本の不動産に強い割安感が生まれたと考えられます。
海外の富裕層や機関投資家が、利回りの良さや資産保全を目的に都心の高級マンションなどを積極的に購入しています。潤沢な海外マネーの流入が、特定のエリアにおいて価格をさらに押し上げる結果につながったと言えるでしょう。
今後のマンション価格の予測

今後のマンション価格は全体として高止まりしつつ、エリアによる差が明確になると予測されています。
| エリア・条件 | 今後の価格予測 |
|---|---|
| 全体的な傾向 | 急激な暴落は起きず高値水準を維持する |
| 都心・好立地 | 強い実需と投資需要により価格上昇が続く |
| 郊外・条件不利 | 物件によって価格維持と下落の二極化が進む |
急激な暴落は起きず高止まりする
マンション価格がバブル崩壊時のような急激な暴落に至る可能性は低く、現状の高値水準が当面続くと考えられます。
建築コストの高止まりが解消される見込みが薄く、デベロッパー側も供給を絞って価格を維持する戦略をとっているためです。大幅な値崩れを期待して購入を待ち続けると、かえって買い時を逃すことになりかねません。
好立地の物件は価格上昇が続く
都心部やターミナル駅直結など、利便性の高い好立地の物件は今後も価格上昇が続く見込みです。
共働き世帯の増加により職住近接のニーズが高まっており、限られた供給に対して強い購入需要が存在します。資産価値が落ちにくいという安心感から投資マネーも集まりやすく、価格は強気に推移する傾向にあるでしょう。
郊外の物件は価格の二極化が進む
郊外のマンションにおいては、駅からの距離や周辺環境によって価格の二極化が進んでいきます。
ただし足元では、都心部のマンション価格高騰を受けて需要が郊外へ流れる動きも出ており、東京圏では郊外を含む広範囲で地価が上昇しています。令和8年地価公示では、東京圏の住宅地で下落したのは圏内外縁部のごく一部にとどまりました。郊外でも駅近で商業施設が充実しているエリアは価格の上昇・維持が見込まれる一方、駅から遠く利便性が低い物件は将来的に需要が減少しやすく、価格の下押し圧力を受けやすいでしょう。郊外物件を検討する際は、将来的な需要の変化をより慎重に見極める必要があります。
今後の価格を左右する要因は?
今後のマンション価格は、金利動向や建築業界の課題といったマクロな変動要因に影響されると考えられます。
| 変動要因 | 価格への影響 |
|---|---|
| ローン金利上昇 | 返済負担増により購入需要が減少し価格下押し圧力になる |
| 建築費の上昇 | コスト増が販売価格に転嫁され価格高止まりの要因となる |
| 実質賃金の動向 | 直近はプラス圏だが、物価再加速で伸び悩めば購買力が低下し高額物件の需要が減少する |
ローン金利上昇で購入需要が減る
日銀の政策転換による住宅ローン金利の上昇は、マンションの購入需要を冷え込ませる要因となり得ます。
金利が上がれば総返済額が増加するため、これまでと同じ予算では希望する物件が買えなくなる層が出てくるでしょう。需要が減少すれば売り手側も価格調整を迫られるため、中長期的には価格の抑制につながると考えられます。
人手不足で建築費の上昇が続く
建設業界の慢性的な人手不足や時間外労働の上限規制により、建築費の上昇は今後も続くと見込まれています。
人件費を上げなければ職人を確保できず、工期も長期化しやすいと考えられるため、全体的なコスト増加が懸念されます。この構造的なコスト増がある限り、新築マンションの価格が大きく下がることは考えにくい状態でしょう。
実質賃金の伸び悩みで需要が減少する
実質賃金は2026年6月時点で前年同月比1.6%増と6か月連続のプラスとなっており、直近半年では所得環境は改善方向にあるでしょう。
ただし、秋以降は食品や電気・ガス料金の値上げで物価が再び上振れ、実質賃金がマイナス圏に戻るリスクも指摘されています。実質賃金が再び低下に転じれば、生活費の負担増で住宅ローンに回せる資金が減り、マイホーム購入を先送りする世帯が増えると考えられます。その場合、一部の富裕層向け物件を除き、一般的なファミリー層向け物件の価格上昇にはブレーキがかかる要素となり得ます。
マンションを購入すべき時期は?

マンションの購入は、市場の相場動向だけでなく自身のライフスタイルや制度に合わせて決断しましょう。
| 購入のタイミング | 理由とメリット |
|---|---|
| 生活環境の変化時 | 実需に基づいているため相場変動に左右されにくい |
| 減税制度の活用時 | 住宅ローン減税などで税制面での恩恵を最大化できる |
生活環境が大きく変化したとき
結婚や出産、子供の進学など、生活環境が大きく変化するタイミングがマンションのおすすめ買い時です。
自身のライフステージに応じた実需としての購入であれば、市場価格の多少の変動に惑わされず、住環境の向上という本質的なメリットを得られるでしょう。価格が下がるのを待ちすぎて適切な広さを確保できない方が、生活上の損失が大きくなりかねません。
住宅ローン減税を活用できる時期
住宅ローン減税は令和8年度税制改正で適用期限が5年延長され、2026年1月1日〜2030年12月31日に入居した場合が対象です。
年末のローン残高の0.7%が所得税(控除しきれない分は住民税の一部)から最長13年間控除されるため、実質的な金利負担を軽減できます。ただし、2028年以降に建築確認を受ける省エネ基準適合住宅の新築や、2028年以降に入居する災害レッドゾーン内の新築住宅は原則対象外となるなど、年々要件が厳格化しています。有利な条件が適用される期間内に判断することが重要です。
マンションを売却すべき時期は?
マンションの売却は、手元の資金計画や建物の維持管理スケジュールを逆算して最適な時期を判断しましょう。
| 売却のタイミング | 理由と判断基準 |
|---|---|
| 売却額が残債を上回るとき | 手出しの資金なく住宅ローンを完済し利益を残せる |
| 大規模修繕の実施前 | 修繕積立金の一時負担や値上げの発生を回避できる |
| 所有期間が5年を超えた時期 | 譲渡所得税の税率が下がり手元に残る金額が増加する |
売却額がローン残債を上回るとき
マンションの査定額が住宅ローンの残債を上回る状態になったときが、金銭的に損をしにくい売り時です。
売却代金だけでローンを完済できるため、自己資金を持ち出すことなくスムーズに次の住み替えへ移行できるでしょう。定期的に不動産会社へ査定を依頼し、自宅の現在価値と残債のバランスを把握しておくのがおすすめです。
大規模修繕が実施される前の時期
一般的に12年から15年周期で行われる大規模修繕の前に売却することで、一時的な費用負担を回避できると考えられます。
大規模修繕に合わせて修繕積立金が値上げされたり、不足分として一時金の徴収が発生したりするケースも存在します。管理費等の負担が増える前に売却活動を終えれば、買い手側にも月々のランニングコストが低い状態をアピールできるでしょう。
税率が下がる所有5年超の時期
マンションを売却して利益が出た場合にかかる譲渡所得税は、所有期間が5年を超えると税率が約半分に下がります。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下だと短期譲渡所得として約39%の税率がかかりますが、5年を超えると長期譲渡所得となり約20%に軽減されます。手元に残る金額が大きく変わるため、5年という節目を意識した売却計画を立てるのがおすすめです。
まとめ
今後のマンション価格は急激に暴落することはなく、都心の好立地を中心に当面は高止まりが続く見通しです。
建築費の高騰や金利の動きなど複雑な要因が絡み合う中で、郊外と都心での資産価値の二極化もさらに進んでいきます。購入・売却いずれの場合も、市場の相場観だけでなく、ご自身のライフプランや税制優遇の節目に合わせた見極めが必要です。
しかし価格変動のリスクを抱えながら、物件の将来価値を正確に評価し最適な売買タイミングを独力で判断するのは容易ではないでしょう。金利動向やエリアごとの需給バランスを読み間違えれば、高値掴みをしてしまったり、本来得られるはずの売却益を逃したりする事態にもつながりかねません。
イー・トラストは、創業35年目を迎える「日商エステムグループ」の一員として、分譲・賃貸・建物管理・売却相談までワンストップで対応しています。少ない資本から始められる中古マンション経営を軸に、お客様のライフプランに合わせた運用・売買をご提案しています。グループの総合力と長年の実績に裏打ちされた市場データを活用し、根拠のあるプランニングが可能です。専門家や経済評論家を招いたセミナーやプライベートセミナー、コラムサイト「イエスタ」やメールマガジン「イートラ通信」などを通じて、書籍やインターネットだけでは得られない最新の生きた情報も継続的にお届けしています。マンション経営や資産運用でお悩みの方は、ぜひお気軽にイー・トラストへご相談ください。
