利上げによって不動産価格が下がるって本当? 仕組みから対応策まで徹底解説

利上げによって不動産価格が下がるって本当? 仕組みから対応策まで徹底解説|株式会社イー・トラスト

日本銀行によるマイナス金利政策の終焉や金利上昇政策により、日本は「金利のある世界」に戻りつつあります。利上げは不動産価格の下落要因となるため、不安に思っている方もいるでしょう。

この記事では、利上げの仕組みから不動産価格への具体的な影響、投資家がとるべき対応策まで徹底的に解説します。正しい知識を身につけて、変化の波を乗り越えましょう。

金利の仕組みと不動産価格の関連性

金利の仕組みと不動産価格の関連性

不動産価格の変動を予測するうえで、金利の影響は無視できません。金利の上昇によって不動産が買われにくくなるためです。しかし、実は利上げ局面でも、不動産価格が上昇するケースはあります。金利と不動産価格の関係性について、基本的な仕組みから見ていきましょう。

中央銀行の政策によって変動する金利

金融機関の預金金利や貸出金利は、中央銀行が決める政策金利の影響を受けて変動します。政策金利とは、経済状況や国の政策に基づいて中央銀行が定める短期金利です。「誘導目標金利」とも呼ばれ、国内金融機関が金利を決める際の指標にしています。

例えば、景気が過熱してインフレ圧力が高まっている局面では、過熱感を抑えることが必要です。そこで、市場を冷やすために政策金利を引き上げます。金利が高くなると金融機関から資金調達しにくくなり、経済活動が縮小するためです。一方、経済の縮小が進みすぎてデフレ傾向が強まった場合は、金利を引き下げて経済を刺激します。

金利が上昇すると不動産は買われなくなる

一般的に、金利が上昇すると、ほかの経済活動と同様に不動産取引も縮小します。不動産取引の停滞、つまり買われなくなる大きな理由は、購入のための資金調達が難しくなるためです。そして、金利負担が大きくなることから、購入意欲自体も低下してしまいます。

また、投資目的で不動産物件を購入する人にとっても、金利の上昇は好ましい状況ではありません。需要が減少し、購入した物件の価値が低下するリスクが高まるためです。さらに、家賃収入目的で購入する場合も、金利が収益性を圧迫します。結果的に、投資という側面でも不動産は買われにくくなってしまうのです。

利上げでも不動産価格が上昇するケースもある

実は、利上げとともに不動産価格が上昇するケースもあります。理由は駆け込み購入による需要と、金利負担分のコスト増加です。さらなる金利の上昇を見越して、将来住宅を購入しようと考えていた人が計画を早めることで、需要が高まる可能性があります。

また、マンションや賃貸物件の投資家やデベロッパーにとっては、わずかな金利上昇も大きな痛手です。そこで、利上げ分を販売価格に転嫁するため、不動産価格が上昇します。

さらに、利上げ政策の長期化も、不動産価格を押し上げる要因の一つです。利上げが続くということはインフレも続いているため、単純に物価上昇分が価格に反映されます。

利上げによって不動産価格が下がる理由

利上げによって不動産価格が下がる理由

不動産取引に限らず、利上げは経済活動を縮小するための政策です。取引が少なくなることで、結果的に価格が下落します。

そこで、利上げによって不動産が買われにくくなる理由を、3つの観点で見ていきましょう。

利回りが下がる

上昇した金利の負担によって利回りが下がるため、利上げ時には不動産が買われにくくなります。利回りとは、投資した金額に対して得られる利益のことです。家賃や敷金といった収入から、管理費用や修繕費などの経費を差し引いた金額が収益として残ります。

金融機関で資金調達して不動産物件を購入した場合には、経費として利息の支払いも必要です。利上げが行われると支払う利息も増加するため、結果的に収益性が下がります。

ローン審査に通りにくくなる

利上げによってローンを組んだ際の返済総額が増えるため、審査に通りにくくなります。例えば、5,000万円まで借り入れできる条件だった人が、利上げにより4,000万円が上限になると、5,000万円の住宅は売れません。そもそも審査に通らず、住宅購入を諦める人も出てきます。

極端な話、4,000万円しか融資を受けられない人ばかりになると、5,000万円の物件も4,000万円に値下げせざるを得ません。市場の購買力が低下するため、結果的に全体として不動産価格が下がるのです。
不動産を売却して資産を移す投資家が増える
不動産価格の低下が予測される利上げ局面では、投資目的で所有していた物件を手放す投資家が増加します。利回りや売却益の低下で収益性が悪くなり、ほかの金融商品に資金を移動させるためです。

不動産に限らず、物価は需要と供給のバランスで決まります。投資家が物件を手放した分、供給が増えるということです。需要に対して供給が上回ると、市場に出回る物件が余るため、結果的に価格が下落していきます。

金利上昇リスクへの対応策

金利上昇リスクへの対応策

不動産購入時にローンを組んでいる人にとって、金利上昇はリスクとなってしまいます。利上げの影響を最小限にとどめるためには、適切な対策と素早い決断が重要です。

そこで、金利上昇時のローン対策を3つ詳しくご紹介します。

自己資金を残したうえでローンを組む

自己資金を残してローンを組めば、金利が上昇しても対応できます。不動産購入時に手持ち資金をすべて使ってしまうと、上昇した金利分の負担が重荷になりかねません。

自己資金を金利にあてることで、無理のない返済が可能です。利回りは当然悪化してしまいますが、金利負担から物件を手放すといった事態は避けられます。

また、自己資金を残しておくと、災害や急な設備故障による突発的な支出にも対応できます。特に不動産投資をする際は、自己資金と借入金のバランスを考えた資金計画を立てましょう。

金利方式も含めてローンの借り換えを検討する

金利方式の違う商品に、ローンを借り換えることも対応策の一つです。住宅ローンの金利方式には、変動金利と固定金利があります。現在の金利だけではなく、将来的な金利予測に合わせて選択することが大切です。

変動金利の場合、一般的に借入時の金利は低く設定されています。しかし、利上げに連動して金利が上昇するため、将来的に利息負担が大きくなるおそれがあるでしょう。今後の利上げが予測される場面では、固定金利のほうが有利となるケースもあります。

また、現在とは異なる金融機関や、借入時よりも収入が増加しているなど、条件が変わることで低い金利のローン商品に切り替えられるかもしれません。特に、利回りが重要な投資物件を購入している場合には、より有利な条件で資金調達をする方法を常に模索しておきましょう。

繰り上げ返済をする

繰り上げ返済をすれば、支払うべき利息を圧縮できます。例えば、利息だけを考慮した場合で見てみましょう。1,000万円を借入していた場合、支払う利息は元金の1,000万円に対してかかります。しかし、500万円を繰り上げ返済すれば、500万円に対する利息しかかかりません。

また、繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額短縮型の2タイプがあります。期間短縮型は、毎月の返済額は変わらず、より短い期間で完済するタイプです。利息の軽減効果が高く、早期に完済できます。

一方、返済額短縮型は、返済期間はそのままに毎月の返済額を減らすタイプです。期間短縮型よりも利息軽減効果は低くなりますが、毎月の支払いが減るため資金繰りが楽になります。

【まとめ】利上げによる不動産価格の下落に備えておく

【まとめ】利上げによる不動産価格の下落に備えておく

政策金利が上がると、一般的に不動産価格は下落します。利上げで不動産価格が下がる理由は、利回りの低下やローン審査の厳格化、投資家による資金移動などによって買われにくくなるためです。

利上げが実施されると資金計画にも影響を与えるため、あらかじめ対応策を考えておく必要があります。自己資金を多めに残すほか、金利方式の変更や繰り上げ返済などを行い、リスクに対応しましょう。

不動産投資をする際は、景気動向や政策金利に注目しておくことも大切です。
 
 

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