不動産を所有していると、毎年固定資産税がかかります。また、購入時には不動産取得税の支払いも必要です。しかし、不動産取得税と固定資産税の算出基準を詳しく知らない方も少なくありません。
そこで本記事では、不動産取得税と固定資産税の算出に利用する評価額、支払いタイミングや計算方法の違い、さらに軽減措置について詳しく解説します。不動産の購入を検討している方はもちろん、現在所有している方もぜひ参考にしてください。
もくじ
不動産を取得したら考えておきたい2つの税金

不動産を取得すると、不動産取得税と固定資産税がかかります。不動産取得税は購入した際にのみかかる税金で、固定資産税は不動産を所有している限り毎年かかる税金です。
まずは、不動産取得税と固定資産税、都市計画税について詳しくみていきましょう。
購入時にかかる不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物を購入した際にかかる税金です。「取得税」という名のとおり、基本的には不動産の購入時に一度だけ課税されます。ただし、建物の増築や改築で、不動産の価値が高くなった場合も課税対象です。
不動産取得税は、不動産の所在地の都道府県に納めます。課税額を決定するために、不動産購入から一定期間内に不動産取得税申告書の提出が必要です。申告期限は各都道府県によって異なるため、提出が遅れないよう注意しましょう。
所有している限り課税される固定資産税
固定資産税は、所有する不動産に毎年かかる税金です。毎年1月1日の時点で不動産を所有している権利者に課されます。
不動産のある自治体から送られてくる納付書に従って、期日までに支払いましょう。不動産取得税のように、申告をする必要はありません。
都市計画税が課されるケースもある
固定資産税と同じタイミングで、都市計画税が課されるケースもあります。都市計画税が課される不動産は、都市計画法に定められている市街化区域にある土地や建物です。
固定資産税と同様に、不動産を所有している限り毎年課税されます。都市計画税は必ず課される税金ではありませんが、納税額も含めて事前に確認しておきましょう。
固定資産税と不動産取得税の違いを比較

不動産を所有すると欠かせない固定資産税と不動産取得税ですが、支払い先や納付タイミングが異なります。納税資金の用意が遅れて延滞にならないよう、正しく理解しておくことが大切です。
算出根拠も含めて、両者の違いを詳しくみていきましょう。
支払い先と納付タイミング
固定資産税の納付先は、所有する不動産がある市町村です。納税通知書と同時に送付される納付書を利用して支払います。一般的な納付タイミングは、4月・7月・12月・2月の年4回です。ただし、自治体によって、支払い期日が異なるケースもあるため注意しましょう。
一方の不動産取得税は、不動産の住所地の都道府県に対して納付します。支払いタイミングは、不動産購入後6カ月から1年半後です。納付期限は都道府県によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
なお、固定資産税は毎年課されますが、不動産取得税は不動産を取得した際に1回のみ支払います。
算出根拠の評価額
固定資産税と不動産取得税の算出には、固定資産税評価額が利用されます。固定資産税評価額とは、市区町村が3年に1回算定し、固定資産課税台帳に記載されている土地の評価額です。
また、固定資産税と不動産取得税だけではなく、都市計画税や登録免許税の算出にも使用されます。固定資産税評価額の目安は、国土交通省が公表する地価公示の70%程度です。
課税額が減額される軽減措置
固定資産税と不動産取得税には、どちらも軽減措置があります。ただし、軽減措置を受けるには、いくつかの条件を満たさなければなりません。例えば、住宅用建物の固定資産税の軽減措置は新築のみが対象で、床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下の場合に適用されます。また、固定資産税の軽減措置は一般的に3年間しか受けられませんが、長期優良住宅認定された建物は7年間まで延長可能です。
住宅を購入した場合の不動産取得税には、3%の軽減税率が適用されます。さらに、新築と中古、土地と建物によって異なる軽減税率が適用される点に注意が必要です。自治体によっても条件は異なるため、事前に確認しておきましょう。
具体的な計算方法と注意点

固定資産税評価額を基準に算出する不動産取得税と固定資産税ですが、税率は異なります。さらに、軽減措置によって税額はまったく変わってくるため、基本的な計算方法を理解しておくことが大切です。
不動産取得税と固定資産税の計算方法を、注意点も含めてみていきましょう。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税は、固定資産評価額に標準税率をかけて算出します。標準税率は原則4%ですが、軽減措置が適用されるケースや自治体によって異なる場合があります。
2,000万円の新築マンションを購入したケースで、具体的に計算してみましょう。
新築マンションの軽減措置:1,200万円控除
不動産取得税:32万円= (2,000万円- 1,200万円)✕ 4%
取得した物件の評価額は2,000万円ですが、住宅用新築マンションであれば1,200万円の控除を受けられるため、不動産取得税は大きく軽減されます。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、固定資産税評価額×標準税率1.4%をかけて算出します。ただし、不動産取得税と同じく地域によって異なる点に注意が必要です。
所有するマンションの評価額が、2,000万円の場合の固定資産税を計算してみましょう。
2,000万円✕1.4%という計算式のため、固定資産税は28万円です。なお、課税標準額の合計が土地の場合で30万円未満、家屋の場合で20万円未満であれば、固定資産税は課税されません。
また、固定資産税は一般的に年4回に分けて支払うため、納付1回あたりの税額は7万円です。
不動産取得税のほうが税額は大きい
一般的に、不動産取得税のほうが納税額は大きくなります。どちらも固定資産税評価額を使用して算出するものの、標準税率が大きく異なるためです。固定資産税の税率が1.4%に対して、不動産取得税は4%に設定されています。
ただし、軽減措置が適用される場合には、必ずしも税率の差が税額の違いに直結するとは限りません。軽減措置を最大限に活用できる物件を選ぶことで、少しでも節税できます。
取得時に固定資産税は不要
固定資産税は、物件の取得時には課税されません。毎年1月1日の時点で不動産を所有する権利者が課税対象のためです。
不動産購入1年目は、不動産取得税のみが課税されます。ただし、翌年からは固定資産税が課されるため、ゆとりをもって納税資金を用意しておきましょう。
【まとめ】不動産取得税も固定資産税も正しく理解しておくことが重要

不動産を所有すると課される税金のうち、不動産取得税と固定資産税はまとまった納税額になります。計算方法や軽減措置の違いを正しく理解し、余裕をもって納税資金を準備しておくことが大切です。
また、納税額の減額につながる軽減措置は、最大限活用しましょう。ただし、不動産取得税と固定資産税それぞれで制度が違う点と、物件の条件によっても適用内容が異なる点に注意が必要です。具体的な計算方法に不安がある場合は、不動産会社などの専門家に相談することをおすすめします。
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