40代の貯金額はいくらぐらい必要か、自分の状況を見直すうえで気になる人は少なくありません。同年代の人はどれくらいお金を貯めているのか、老後に向けての資金はいくらくらい必要なのか、これまで以上に具体的な貯金額が気になり始める時期です。
この記事では、40代の平均貯金額や理想の貯金額、おすすめの貯金方法について解説していきます。
もくじ
40代の平均貯金額は818万円
40代になると、多くの人が貯金についてより真剣に考え始めます。家族構成やライフスタイルが確立し、将来設計が具体的になってくるためです。
40代の平均貯金額や理想の貯金額についてみていきましょう。
正しく現状把握をする
貯金の計画を立てる際は、現状を正確に把握することが大切です。まずは、自分の貯金額と平均額を比較してみましょう。
金融広報中央委員会の世論調査によると、40代の単身世帯の平均貯金額は818万円、2人以上世帯の平均貯金額は916万円です。一方で、中央値は単身世帯で92万円、2人以上世帯で300万円となっています。中央値とは、データを順に並べたときに、ちょうど真ん中にあたる数値です。中央値が平均値から大きく乖離していることは、極端に高い貯金額の人がいる一方で貯金がない、もしくは極端に少ない人も一定数いることをあらわします。
老後を考えると、貯金額は多いに越したことはありません。一方で、40代ではまだ貯金額の少ない人もいるので、大きく落胆せずに改めて計画を立て直しましょう。
40代における理想の貯金額の目安
40代の理想の貯金額は、老後に必要な金額の60％程度が目安といわれています。大きく話題にもなりましたが、老後資金として2,000万円が必要だとすると、40代のうちに1,200万円程度を準備したいところです。
一方で、65歳から85歳に必要な金額は1,150万円という試算もあります。この場合、40代での貯金の目安は690万円です。家族構成や子どもの人数によっても変わってきますが、700万円から1,200万円程度あれば理想的な貯金額といえます。
目標を決めて無理なく貯金する
40代でしっかりと貯金をしておくことは大切ですが、家計のコントロールが難しくなる年代でもあります。闇雲に貯金をするのではなく、目標を決めたうえで無理なく貯めることが、理想の貯金額に近づくためのポイントです。
貯金を進めていくうえで、確認すべきポイントについて解説します。
老後に向けた折り返し地点で貯金の総点検
40代は、人生の折り返し地点ともいえる年代です。このタイミングで、老後の資金計画を改めて確認しておきましょう。
2013年に施行された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により、65歳までの定年延長が、2025年からすべての企業で義務化されることになりました。一方で、これまで定年だった60歳、早ければ55歳で給与が減ってしまうおそれもあります。給与収入を得られる残り期間や総額を考えて、年単位、月単位でいくら残していくべきかを計画しておくことが大切です。
大きな出費も伴う時期だけに無理はできない
マイホーム・子どもの教育費・老後資金は人生の3大支出といわれており、老後資金以外は多くの人が40代前後で負担します。さらに、高齢の親の介護や子どもの結婚費用なども、大きな出費として準備しておくべきでしょう。
また、40代ともなると友人関係も含めてライフスタイルが確立しているので、貯金をしたくても簡単に支出を削減できない場面もあります。現実離れした貯金計画ではなく、ゆとりをもってコツコツと貯めていきましょう。少なくともこれまで準備した貯金を減らさないように、支出をコントロールすることが大切です。
40代から始める貯金のアプローチ
老後資金を準備するうえで、40代は重要な年代です。一方で、現在ほとんど貯金がなかったとしても、過度に焦る必要はありません。
40代からでも十分老後に向けての貯金は間に合うので、着実に取り組んでいきましょう。40代から貯金を始める際の、アプローチ方法をご紹介します。
収入と支出のバランスを整える
貯金に失敗しないためには、毎月の収支状況を把握することが重要です。「貯金をするぞ」と無理やり始めるのではなく、まずは収入と支出のバランスを整えることから始めましょう。
お金の使い道を把握する方法としては、家計簿をつけることがおすすめですが、手書きの家計簿にこだわる必要はありません。最近では、レシートをスマホのカメラで撮影すれば自動的に家計簿をつけられる便利なアプリも登場しています。何にどのくらいお金を使っているのかを把握し、無駄なものを1つずつ見直していくことが大切です。
貯金習慣を身につけるためのコツ
計画的な貯金が苦手な方は、先取り貯金に取り組むことで貯金習慣が身につきやすくなります。先取り貯金とは、収入が入ったら真っ先に一定額を貯金に回し、残った分のお金でやりくりする方法です。
「月末に残った分を貯金しよう」とすると、つい「どうしても必要だったから」と自分に言い訳をしてしまいがちです。なかなか支出を減らせない方でも、先取り貯金をして強制的に手元のお金を少なくすれば、使いすぎを防げます。
また、会社の福利厚生で財形貯蓄制度を利用できれば、給与振り込み時に天引きされるので使い込んでしまう心配がありません。さらに、税金の控除を受けられる場合もあり、貯金額以上の節約効果も見込めます。
無駄遣いを減らすためのアイデア
無駄遣いを減らすには、まず固定費を徹底的に見直しましょう。生活費には大きく分けて、変動費と固定費の2種類があります。変動費とは光熱費・食費・交際費など月によって金額が変わる項目で、固定費は住居費・通信費・保険料など月々の支払い金額が一定の項目です。
貯金のための節約となると、真っ先に電気代や水道代、ガソリン代などの変動費の節約に取り組みがちですが、効果があがらなくて断念してしまう人も少なくありません。変動費の多くは必要に応じて消費しているので、削減余地のないケースが多いためです。
一方で固定費は、使用していなくても毎月出ていくお金なので、わずかな金額でも年間でみると影響が大きいこともあります。たとえば、携帯の使用時間を減らして利用料金を少しでも安くするよりも、基本料金やオプションが本当に自分の使用スタイルにあっているかどうかを見直したほうが、高い節約効果を得られるかもしれません。
保険やサブスクサービス、場合によっては家賃などが本当に必要な費用なのかを見直してみましょう。
貯金を増やすための投資や副業の選択肢
40代は現金の支出も多い時期なので、ただお金を貯めようとしてもなかなか貯金が増えていかないかもしれません。そこで、貯金以外の選択肢も検討してみましょう。
貯金以外に資産を増やす方法は、限られたお金を投資して増やすか、収入そのものを増やすかの大きく2つです。
少額でもいいので投資を始める
日本の銀行は金利が低いので、貯金だけではなかなか資産は増えません。効率よく資産を増やすために、投資も検討してみましょう。貯金に充てる費用の一部を投資に回すことで、ただお金を貯めるよりも早く貯金を増やせる可能性があります。
ただし、40代ではライフイベントも多いため、余剰資金のすべてを投資に回すのは避けたほうが無難です。今後のことを見据えて、一定金額の現金は手元に残しておきましょう。投資に回した資金を計画外に出金すると、増やすどころか手数料や解約金で目減りするおそれもあります。
副業で収入そのものを増やす
副業を始めて収入そのものを増やすことも、貯金を増やすための方法の一つです。近年では、クラウドソーシング系のサイトで仕事を受注する人が増えており、ライター・プログラミング・動画編集などさまざまな案件があります。
給与収入で生活が成り立っていれば、副業で得た収入を無理なく貯金に回せます。また、本業が忙しく副業に時間を割けない方には不動産経営もおすすめです。
不動産経営は投資の一種ですが、賃貸物件を取得して家賃収入を得るという意味では事業的な面もあります。物件によっては、老後の収入源にもなり得るのでぜひ検討してみてください。
【まとめ】着実に貯金をすれば40代からなら十分に巻き返せる
40代の単身世帯の3割以上、2人以上世帯の2割以上は貯金がまったくないというデータからもわかるように、すべての人が貯金をしているわけではありません。つまり、平均貯金額より低くても、過度にあわてる必要はないということです。
一方で、人生の折り返し地点でもある40代は、貯金を始める最後のタイミングともいえます。まずは収入と支出のバランスを整えながら、無理なく貯金できる習慣を身につけていくことが大切です。また、闇雲に貯めるのではなく、具体的な計画を立ててから貯金を始めると、実現性がより高まるでしょう。
