老後を見据えた資産形成が思うように進んでいない方でも、40代から始めれば十分間に合います。一方で、出費も増える時期でもあるため、ライフプランに合わせた計画を立てることが重要です。
そこで本記事では、40代からの資産形成のポイントやおすすめの投資方法、注意すべき点を解説します。
もくじ
40代からの資産形成が重要な理由
老後の資産形成において、40代は重要な時期といわれます。仕事と収入が安定してくるほか、老後までの期間で考えるとちょうど折り返し時点であるためです。
40代の資産形成で意識しておきたい、3つのポイントを詳しくみていきましょう。
老後資金の準備が本格的に必要になる
収入を得る期間を20歳前後から65歳前後と考えると、40代はちょうど半分の時期です。残り期間を考えて、本格的に老後資金の準備を始める必要があります。
老後に必要な資金は2,000万円とも3,000万円ともいわれているため、投資も含めて中長期的な資産形成計画を立てることになります。資産形成には一定の期間が必要なため、老後まで20年あまりに迫る40代はデッドラインといえるでしょう。とくに、投資の成功確率は、運用期間が長くなるほど高まります。
貯蓄・投資の余裕が生まれる
一般的に働きざかりといわれる40代は、仕事も収入も安定してくる時期です。収入が増加することでゆとりがうまれるため、貯蓄や投資に回せる資金も確保しやすくなります。まとまった資金を計画的に運用することで、着実な資産形成が可能です。
老後資金の準備はできるだけ早く始めることが推奨されていますが、20代や30代といった若い時期には現実味がなく、何もしていない方も少なくありません。しかし、40代でもしっかりとした計画性をもって取り組めば、老後資金の準備は十分間に合います。
40代の平均貯蓄額と、目指すべき資産額の目安
金融広報中央委員会(現・金融経済教育推進機構:J-FLEC)が発表した令和5年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40代(2人以上世帯)の平均貯金額は361万円です。
一方で、「老後2,000万円問題」として話題になったように、老後資金として必要な金額は少なくとも2,000万円とされています。インフレリスクも考えると、可能であれば3,000万円程度は用意しておきたいところです。目標とする老後資金に対して、現在の貯蓄や資産の金額がどの程度不足しているかを正しく認識し、確実な資産形成計画を立てましょう。
40代の資産形成のポイント
収入もあがり、資金的なゆとりの出てくる40代ですが、実は出費の増加する時期でもあります。着実な資産形成を実現するには、収入と支出のバランス、ライフプランも含めて計画を立てることが重要です。
40代の資産形成で考慮しておくべきポイントを詳しくみていきましょう。
生活費・住宅ローン・教育費とのバランスを考える
40代は、住宅ローンや子どもの教育費といった大きな支出が家計を圧迫する時期でもあります。無理なく資産形成を進めるには、支出全体とのバランスを考慮することが必要です。
ただし、老後資金を意識し過ぎて、現在の生活を必要以上に切り詰めるのはおすすめしません。子どもの成長を見守ることや趣味など、今しかできないことはたくさんあります。現在も含めた人生全体が豊かになるよう、長期的な視点で資産形成を進めましょう。
「貯める・増やす・守る」の3本柱で計画を立てる
資産形成計画を立てる際は「貯める・増やす・守る」の3本柱を意識することが重要です。「資産形成」という言葉から増やすことだけが注目されがちですが、ほかの要素も計画に盛り込むことで結果的に目標の資産額に近づきます。
まず、資産形成の基本になるのは、貯めることです。動かしやすい現金として資金を確保しておくことで、想定外の支出があっても対応できます。また、増やすのに必要不可欠な投資の成功確率をあげるためにも、貯蓄は重要です。投資の長期的な運用期間のなかで、価値が減少する場面も少なくありません。現金不足から投資資金を現金化すると、資産を増やすどころか損失を負ってしまうおそれもあります。
そして、投資による資産形成を成功させるカギを握るのは、資産を守る計画です。とくに株式投資などのリスク資産の場合は、目標金額や売却タイミングも計画に盛り込んでおきましょう。投資が成功して資産が増えても、永久に利益を生み続けるとは限りません。出口戦略も事前に考え、確実な資産形成を図ることが大切です。
投資初心者でも始めやすい運用方法を選ぶ
確実な資産形成をするためには、運用方法の選択も重要なポイントです。とくに40代から老後資金の準備を始める場合は、目減りさせないよう、初心者でも始めやすいリスクの低い投資商品を選ぶことをおすすめします。
投資商品の特性を事前に調査し、リスク範囲についてしっかりと理解しておきましょう。投資には少なからずリスクがあり、元本割れをしてしまうおそれもあります。40代は老後まで20年あまりであることを考えると、大きなリスクは避けるべきです。分散投資も含めて、リスクをできるだけ抑えた運用から始めることで投資の成功確率が向上します。
40代からの資産形成におすすめの投資方法
40代から資産形成を始める場合は、リスクとリターンのバランスを意識することが重要です。老後資金としていくら必要なのかを考えながら、投資先を選定しましょう。
40代からの資産形成におすすめの投資方法を、厳選して4つ紹介します。
NISA・つみたてNISA
NISA(少額投資非課税制度)は、運用益や分配金が非課税となる制度です。上場株式やETFなどを対象とする「成長投資枠」と、国が定めた基準を満たす投資信託やETFを対象とする「つみたて投資枠」が用意されています。2024年に新NISAと呼ばれる制度に改正され「つみたて投資枠」で120万円、「成長投資枠」で240万円まで年間の投資上限額が引き上げられました。
各金融機関でさまざまな商品が用意されていることも、NISAの特徴です。少額からつみたてられる商品が多いため、まとまった資金がなくても無理なく始められます。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月一定額を積み立てて老後に受け取る資産を形成できます。最大のメリットは税制優遇で、掛け金は全額所得控除されるうえ運用益も非課税です。また、最終的には退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため、受取時の税負担も軽減されます。
ただし、最短でも原則60歳まで引き出せないため、投入した資金は現金化できません。無理のない資金計画を立てて、コツコツと続けていくことが大切です。
不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートを購入して賃貸収入や売却益を得る方法です。不動産は一般的にインフレに強いとされており、物価上昇に伴い資産価値や家賃が上昇する可能性があります。また、減価償却費や固定資産税などを経費計上できるため、ほかの所得と合わせることで節税につながる点も不動産投資の魅力です。
現物資産は、老後の収入源としても期待できます。家賃収入は継続性のある不労所得のため生活が安定するほか、売却してまとまった資金を得ることも可能です。
株式投資
株式投資は、株価の上昇による値上がり益(キャピタルゲイン)と配当金(インカムゲイン)による収益を期待する投資手法です。不動産投資と同様、インフレに強いといわれています。
ただし、株価は経済状況の影響を受けて乱高下しやすいため、リスク管理が重要です。また、個別株に投資する際は、倒産や上場廃止によって著しい損失を負ってしまうおそれもあります。
40代から資産形成を始める際の注意点
投資を含む資産形成を計画する際は、実は年代によって注意すべきポイントが微妙に異なります。例えば、20代であればリスク資産に投資して損失を負っても取り戻す機会はありますが、失敗のできない50代ではできるだけ低リスクで運用したいものです。
40代で資産形成を始めるにあたっての注意点を3つみていきましょう。
リスクとリターンのバランスを考える
大きなリターンを得るためには、ある程度リスクを許容することも必要です。しかし、老後までの時間が減ってくる40代からの資産形成では、安定性も重要となります。
目標とする資産額に対して、どの程度のリターンが必要かを正確に見極めて投資プランを立てましょう。ただし、リスクばかりを気にして目標金額に届かなければ、老後の計画が狂ってしまいかねません。リスクを取らないのではなく、適切なリスク管理をしてバランスを取ることが重要です。
老後資金を意識しながらライフプランを見直す
40代からの資産形成を考える際は、老後資金を意識したライフプラン全体の見直しも重要です。40代は資金にゆとりがでると同時に、支出が増加する時期でもあります。計画を立てないままでいると、思うような資産形成は実現しません。
ただし、闇雲に節約をすると、人生の豊かさが失われてしまいます。大切なことは、老後資金を確実に構築していくことです。今後の人生をじっくりと考えて、消費と資産形成の資金バランスを組み立て直しましょう。
最低限の生活防衛資金を確保する
資産形成の効率を考えると、投資を重視せざるを得ません。しかし、現金としての貯蓄は「生活防衛資金」として重要です。しっかりとした資金計画を立てていても、想定外の支出が生じるケースはあります。家族の病気やけが、勤め先の倒産による収入減などです。生活防衛資金を確保しておかないと、投資計画に影響を与えかねません。
生活防衛資金の目安は、3~6ヶ月分の生活費です。あまりに生活防衛資金の確保を意識しすぎると、資産形成が実現しないおそれもあります。収入を十分に得られる40代であれば、生活防衛資金は最低限の確保にとどめて、積極的な資産運用を進めるのも一つの考え方です。
【まとめ】40代からの資産運用は遅くない
資産運用は早く始めるほど有利ですが、40代からでも決して遅くありません。むしろ、安定した収入を確保できることから、運用計画を立てやすい時期でもあります。
ただし、20代に比べると残された時間も少ないため、リスクとリターンのバランスを意識した計画を立てることが必要です。今後のライフプランを見直しつつ、確実な資産運用を進めましょう。
40代からの投資方法として紹介した不動産投資を始める際は、運用の手間とリスクを低減する目的で管理運用のプロに相談することをおすすめします。日商エステム管理サービスなら、豊富な実績とノウハウによってオーナー様のさまざな要望にお応えします。